「は」からはじまる歯科用語

バイオフィルムとは、物体にへばり付いて膜状に繁殖する微生物の集合体のことです。歯に付着する歯垢(プラーク)は、口内細菌のバイオフィルムです。

歯痛とは、歯が痛むことで「はいた」や「しつう」と読みます。ひどい歯痛がする場合には、速やかに歯科医院を受診しましょう。

ハイドロキシアパタイトとは、塩基性リン酸カルシウムのことです。歯や骨の主成分となっていて、エナメル質では97%を占めます。生体親和性が高いので、歯科治療や予防に使用されます。再石灰化や歯垢の吸着効果があります。

ハイブリットセラミックとは、歯科用プラスチックとセラミックを調合した素材です。補綴物として使用されます。
プラスチックよりも耐久性がありながら、柔軟性も兼ね備えていて、噛み合う歯を傷めません。審美的にはオールセラミックに劣りますが、歯の色味に近づけられます。メタルフリーの治療が可能です。長期間使用すると変色などの劣化が起こり、歯垢がつきやすいのがデメリットです。 条件に合えば、保険適用で使用できます。

歯ぎしりとは、眠っている間に歯を強く噛み合わせる行為です。睡眠時の癖なので、ご家族などから指摘されて気づくケースが多いです。
歯をギリギリとすり合わせる「グラインディング」、カチカチと音を立てて噛む「タッピング」、強く噛んで食いしばる「クレンチング」などの種類があります。
歯ぎしりが原因で歯や詰め物が割れたり、歯周病や顎関節症につながる場合もあります。
治療にはおもにマウスピースを用います。
別名:ブラキシズム

バキュームとは、歯科治療で口腔内の唾液や水、切削片などを吸引する器具です。飛沫などを吸引する「口腔外バキューム」もあります。

歯茎とは、歯槽骨を覆っている軟組織のことです。健康な場合、ハリのあるピンク色をしています。
別名:歯肉

発育空隙とは、歯が生え変わる時期に、顎骨が成長することによって、おもに前の歯列に生じる隙間です。永久歯が生え揃うとなくなります。

抜歯とは、治療行為として歯を抜くことです。虫歯や外傷などによって、修復しても維持が難しい歯は抜歯します。矯正治療の一環で行なう場合もあります。

抜歯窩とは、歯を抜いたあと歯根があった箇所にできるくぼみのことです。抜歯直後は血餅(血の塊)がカバーすることで、細菌感染から守られます。数週間後から次第に歯肉と歯槽骨が再生してきて、1年ほど経つと抜歯窩は完全に埋まり回復します。

歯並びとは、口内における歯の配列の状態を指します。通常は舌を取り囲むように弓状に並び、上下の歯が適切に噛み合うのが、良い歯並びとされています。一部の歯がこの並びから飛び出していたり、歯間が大きく開いたりしてしまって乱れていると、見た目だけでなく機能的にも問題が出てきます。滑舌の悪さや噛みづらさ、また清掃のしづらさから虫歯・歯周病にもなりやすいです。悪い歯並びは歯列矯正で治療します。
同義語:歯列

歯の黄ばみは、色の濃い食品などの色素が、歯に染み付いて起こります。加齢でエナメル質が薄くなると、象牙質の色味が透けて歯が黄ばんで見えることもあります。

歯の黒ずみは、コーヒーやブルーベリーといった色の濃い食べ物や、タバコなどの着色汚れが原因のひとつです。抜髄やテトラサイクリン系抗生物質の影響でも黒い変色が起こります。

歯の神経は、同じく歯の内部に通っている血管と合わせて「歯髄(しずい)」とよばれています。歯に対する刺激を感知する大事な神経ですが、進行した虫歯の治療では感染した歯髄を除去する「抜髄(ばつずい)」が必要なケースもあります。いわゆる「神経を抜く」治療で、処置した歯には栄養が供給されなくなり、もろくなります。

歯の着色は、コーヒーなど色素の強い食品の摂取や、喫煙などによって起こります。炭酸飲料や柑橘類など酸性の食品も、着色を助長するので注意が必要です。着色汚れはステインともよばれます。ステインはPMTCやエアフローなどで取り除きます。

パノラマレントゲンとは、歯列とその周辺を全体的に撮影できるレントゲンです。歯と歯槽骨、上顎洞の状況などが大まかにわかるので、治療の初めに撮影されることが多いです。より詳細に診査する場合には、CT撮影などを行ないます。

歯磨きとは、口腔衛生を保つために歯ブラシなどで行なう清掃のことです。歯の表面や歯間、歯と歯肉の間などにこびり付いた、食べカスや歯垢を除去します。虫歯・歯周病のリスクを低減し、口臭も防止します。日常の予防ケアで最も大切な行為です。

パラジウムは貴金属のひとつです。保険適用の補綴物素材である「金銀パラジウム合金」に使用されます。

パワーチェーンとは、ワイヤー矯正で使用する鎖状のゴムです。歯と歯の隙間を閉じるために、ブラケットなどに引っ掛けて設置します。

斑状歯とは、歯の表面のエナメル質に白濁や斑点、縞模様ができてしまったものです。歯が形成される時期に、フッ素を過剰に摂取することで起こります。歯のフッ素症ともよばれます。

反対咬合とは、通常と前後が逆で、下顎が前に出た噛み合わせのことです。咀嚼や発音がしづらい場合があります。
別名:受け口、下顎前突

バンディングとは、歯列矯正でバンド(金属の輪のような装置)を奥歯に装着することです。歯にしっかりと固定されます。

バンドとは、矯正治療で奥歯に設置する金属のベルトです。歯との接触面積が広いので、脱離しにくいのが特徴です。

パントモグラフィーとは、口の中全体を1枚のレントゲン写真に収めたものです。略して「パントモ」ともよばれます。口腔の状態を大まかに確認できます。
別名:パノラマレントゲン


「ひ」からはじまる歯科用語

非抜歯矯正とは、歯を抜かずに行なう歯列矯正のことです。生えてくるすべての永久歯に対し、土台となる顎骨が十分なサイズでないと、きれいに生え揃わずデコボコしたり、一部が飛び出る歯列になります。この場合、必要なスペースを確保するためには抜歯しなくてはなりません。
小児矯正の1期治療で顎骨を適切に発達させておくと、2期治療で非抜歯矯正を行なえる可能性が高くなります。歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正で歯を奥に誘導して、抜歯せずに済むケースもあります。

表面麻酔とは、局所麻酔の一種です。歯科治療では歯肉に塗布して、表面の感覚を麻痺させた状態で浸潤注射などの処置をします。


「ふ」からはじまる歯科用語

フィブリンクロットとは、血液が凝固してできる弾力性のある塊です。フィブリンというのは、タンパク質の一種です。フィブリンクロットには、患部の出血を止め、感染を防ぐはたらきがあります。
別名:血餅(けっぺい)

不正咬合とは、適正に噛み合っていない歯並びのことを指します。歯の生え方や顎骨の発達などに原因があります。色々なタイプがあり、出っ歯(上顎前突)や受け口(下顎前突)、すきっ歯(空隙歯列)、八重歯(叢生)なども不正咬合にあたります。

フッ素は、自然に存在する元素のひとつで、気体です。ほかの物質と結合しやすく、水や食品にも含まれています。歯科では虫歯予防として、フッ化ナトリウムを塗布します。
歯の表面にフッ素を塗ると、歯から溶け出したカルシウムやリンを再び取り込む「再石灰化」という唾液の作用を高めます。フッ素自体も、歯のエナメル質と結びついて歯質を強化させます。また虫歯菌の活動を抑制します。
フッ素添加の歯磨き剤や洗口液などもあります。

不定愁訴とは「なんとなく体調が悪い」という状態を指します。原因が明確ではないものの、倦怠感や疲労感、頭痛、不眠などのつらい自覚症状がある場合、歯科領域では、不正咬合や顎関節症などの影響が考えられます。

部分矯正とは、歯列の一部分だけを治療する方法です。上顎前突(出っ歯)や空隙歯列(すきっ歯)、1本だけ飛び出ている歯など、気になる箇所をピンポイントで整えます。
歯列全体に装置を取りつけると年単位の時間が必要ですが、部分矯正だと数ヵ月で済む場合があります。装置をつける歯が少ないので、痛みやストレスを減らせて、費用も抑えられます。
噛み合わせ全体のバランス調整が必要で、部分矯正が不適な症例もあります。
別名:MTM

部分麻酔とは、体の一部のみを麻痺させるものです。歯科医院では一般的に、この部分麻酔に分類される次の3つの方法を実施します。
表面麻酔法は、おもに注射をする前に歯肉に麻酔薬を塗って、粘膜表面の感覚を麻痺させるものです。 浸潤麻酔法は、歯科でもっとも行なわれている方法で、治療する患部の痛みを抑えるために注射します。
伝達麻酔法は、太い神経の近くに注射するもので、浸潤麻酔では効きにくい奥歯などが対象です。
別名:局所麻酔

プラークとは歯垢のことです。食べカスをエサに繁殖した細菌の塊で、1mgのプラークには1億もの細菌が存在しています。

プラーク(歯垢)は、口内の細菌が形成するネバネバした塊のことで、虫歯や歯周病の原因となります。歯磨きだけで100%歯垢を除去するのは難しいものの、できるだけプラークを取り除いて、清浄な口腔環境を保持する「プラークコントロール」が予防には重要です。
毎日のホームケアはもちろん、歯科医院でのプロフェッショナルケアも活用しましょう。PMTCで歯の表面が滑らかになると、プラークが付きにくく、歯磨きもしやすくなります。

ブラキシズムとは、おもに睡眠中に歯をすり合わせる癖のことです。悪い噛み合わせや補綴物の不適合、ストレスなどが原因となります。ブラキシズムを放置すると歯の破損や歯肉の炎症、顎関節症などのリスクがあります。
別名:歯ぎしり

ブラケットとは、矯正治療をするときに歯に接着する装置のことです。ブラケットにワイヤーを通して力をかけ、歯を動かします。
かつては金属のブラケットが一般的でしたが、目立たない白色や透明の素材も普及しています。

プラスチックブラケットとは、ワイヤー矯正で用いるプラスチック製の透明なブラケットです。メタルブラケットより目立ちにくく、審美的に配慮して治療できます。

ブラッシング指導とは、患者さまに合った歯ブラシの動かし方、フロスや歯間ブラシの適切な使い方をお伝えするものです。ご自身でしっかりプラークコントロールできるようになると、虫歯・歯周病のリスクが低減されます。

ブリーチングとは、ホワイトニングの一種です。神経を抜いて変色してしまった歯の内部に薬剤を入れて、歯を内側から白くします。
さまざまなホワイトニング処置をまとめて、ブリーチングとよぶこともあります。

ブリッジとは、失った歯の機能を補う補綴物です。欠損歯の両隣の天然歯を土台にし、橋を渡しかけるように人工歯を取りつけます。

プレート型アンカースクリューとは、矯正治療で固定源として使用するチタンのプレートです。局所麻酔で歯肉を切開し、顎骨に埋入するので、ビス型よりもしっかりと固定されます。

フロスとは、歯の清掃用具のひとつです。ナイロンやポリエチレンの糸を歯間に通して、食べカスや歯垢を除去します。持ち手が付いているタイプもあります。


「へ」からはじまる歯科用語

ぺリオとは、歯周病のことです。歯周組織が口内の細菌に感染して、炎症が起きます。ぺリオになると歯磨きをするときに血が出たりしますが、初期は痛みがほとんどないので、進行しやすい病気です。悪化すると歯槽骨が破壊され、歯がグラつき、口臭や膿が出ます。最終的には歯が抜け落ちてしまうので、ダメージが少ないうちに治療しましょう。
歯科医院では歯周ポケットの深さを測り、歯垢と歯石を徹底的に除去して、炎症を治します。


「ほ」からはじまる歯科用語

ポーセレンインレーとは、セラミック製の詰め物のひとつです。セラミックにはポーセレン以外にも、イーマックスやジルコニアなどの種類があります。

ご自宅で患者さま自身で行なうホワイトニングのことを「ホームホワイトニング」といいます。専用のマウスピースに薬剤を入れ、数時間歯列に装着して漂白します。
患者さまのタイミングで実施でき、通院回数を抑えられます。比較的弱い薬剤でじっくりと白くするので、効果を実感できるまでにある程度の期間が必要ですが、色戻りしにくいという特徴があります。 歯科医院で行なう「オフィスホワイトニング」という方法もあります。

ホールディングアーチとは、抜歯して歯列矯正をする場合に、奥歯の前方移動を防ぐ目的で使用される装置です。また混合歯列期にも、発育空隙の保持に使われます。

保険診療とは、けがや病気の治療で公的医療保険制度を適用できる診療です。患者さまの保険適用時の自己負担額は、一般的にはかかった医療費全体の3割です。年齢などによって変わり、未就学児は原則2割、70歳以上75歳未満は原則2割、75歳以上は原則1割となっています。
治療が長引くなどして医療費が高額になる場合は、「高額療養費支給制度」や「指定難病医療費助成制度」などで自己負担額を軽減することができます。
関連:自費診療

天然歯を長く使い続けるために、できるだけ非抜歯で行なわれるのが保存治療です。歯をう蝕などから修復する「保存修復」、歯の内部の歯髄の処置を行なう「歯内療法」、歯周組織をダメージから回復させる「歯周療法」の3つの分野があります。

保定とは、矯正装置で目標の位置に移動させた歯を固定するもので、整った歯列を維持・安定させるために行ないます。歯の移動にかかったのと同程度の期間、マウスピース型の保定装置(リテーナー)を歯列に装着し、後戻りを防ぎます。

噛み合わせを矯正装置で治療したあとに、口内に装着して使うのが保定装置です。歯列矯正で動かした歯は、元の位置に戻ろうとする「後戻り」のリスクがあります。適切な状態を維持できるよう、保定装置で固定して定着させる期間が必要です。個人差はありますがほとんどのケースで、歯列矯正にかかったのと同じくらいの保定期間をとります。
保定期間も定期的に通院し、後戻りと虫歯・歯周病のチェックを行ないましょう。
別名:リテーナー

補綴とは、歯の欠損部の機能を人工物で補うことを指します。金属やレジン、セラミックなどの素材を用いて行ないます。

補綴物は、歯の一部や全体を失ったときにその部分を補う目的で設置します。被せ物やブリッジ、インプラント、入れ歯などが該当します。

ホワイトコートとは、歯科用プラスチックを歯の表面に塗って、白く見せる審美的治療です。「歯のマニキュア」ともいわれ、1回の施術で1〜3ヵ月程度持続します。

食べ物に含まれる色素が歯に固着してステイン(着色汚れ)になると、歯の黒ずみなどの原因になります。また加齢によって歯の表面のエナメル質が薄くなると、内部の象牙質の色が透けて黄色っぽく見えるようになります。
ホワイトニングはこうした歯を薬剤で白くして、審美性を回復させる治療です。
歯科医院で歯科医師や歯科技工士が行なう「オフィスホワイトニング」と、患者さまがご自宅で行なう「ホームホワイトニング」があります。

ホワイトワイヤーとは、矯正治療で使用するワイヤーのひとつです。白くコーティングされているので、金属色そのままのワイヤーよりも口内で目立ちません。