「さ」からはじまる歯科用語

虫歯菌の糖分をエサに生み出す酸によって、歯の成分が溶け出す現象を「脱灰(だっかい)」といいます。再石灰化は、それらを再び歯に戻すはたらきのことです。
歯の表面のエナメル質では、脱灰と再石灰化が繰り返し起こっています。口内が長時間酸性に傾くと、再石灰化が追いつかずに虫歯が進行します。糖分は節度を守って摂取し、ダラダラ食べをせず、食後は歯磨きで糖分を除去しましょう。再石灰化の促進にはフッ素も有効です。

差し歯とは、虫歯治療などで大きく削った歯に、土台を入れて取り付ける人工の歯冠です。被せ物やクラウンともよばれます。

サリバテストは、個人差のある唾液の性質を調べる検査です。虫歯のなりやすさがわかるので、予防的な治療にいかせます。
別名:唾液検査


「し」からはじまる歯科用語

歯牙移動とは、歯が生えたまま動くことを指します。病気が原因で動く場合や、矯正治療として移動させる処置があります。

歯科衛生士とは、国家資格の歯科医療の専門職です。歯科医師の診療をサポートし、予防処置や保健指導を行ないます。

歯科技工士とは、歯科治療に用いる補綴物や装置を、歯科医師の指示に基づいて加工・作製する国家資格の専門職です。

チタンでできた小さなネジ状のインプラント(アンカースクリュー)を使用する歯列矯正のことです。インプラント矯正ともよばれます。
インプラントを固定源にするので、ほかの装置では動かすのが難しい方向にも強く力をかけられ、非抜歯治療の可能性が高くなります。オープンバイトやガミースマイルなどの治療に適用されます。 アンカースクリューの埋入に大がかりな手術は必要なく、痛みや出血はほとんどありません。矯正治療後には撤去します。

歯科助手は、患者の口腔に直接手を入れる行為以外の作業を行ないます。受付、会計、清掃、器具の洗浄などです。資格は不問です。

歯冠とは、歯肉から出ている歯の視認できる部分のことです。歯冠表面は、硬いエナメル質でできています。

歯間ブラシとは、歯間を清掃する道具です。歯ブラシでは除去しにくい箇所の歯垢を落とします。さまざまな素材やサイズがあります。

色素沈着とは、皮膚や粘膜などが黒ずむことです。口内では、色の濃い食べ物やタバコなどの成分が、歯に沈着する場合があります。日焼けや歯周病などのダメージが原因で、歯肉にメラニン色素が沈着することもあります。

歯垢は細菌の集合体です。高い粘着性があり、歯間や歯周ポケットなどにこびり付いて、虫歯・歯周病を引き起こします。細菌のエサとなる食べカスを長時間口内に残さず、歯垢を早めに除去するために、食後は歯磨きしましょう。
別名:プラーク

歯根吸収とは、歯根の先端が溶けてしまうことです。根尖性歯周炎や矯正治療などによる、歯根へのダメージが原因になります。歯根が短くなり抜けやすい状態になってしまうので、歯周病予防などに気をつける必要があります。

歯根挺出とは、歯を引っ張り出す矯正治療のひとつです。歯冠部をほぼ失い、被せ物の取り付けが難しい歯を、針金とゴムで歯肉から1mm以上、数ヵ月かけて牽引します。できるだけ歯を抜かずに残せる方法です。
別名:エクストルージョン

歯根破折とは、歯の根に亀裂が入ったり、割れてしまうことです。外部からの衝撃や歯ぎしりなどが原因となります。根管治療などでもろくなった歯に多く生じます。歯根に細菌が侵入して、抜歯する可能性が高くなります。

歯根膜とは、歯根を包んでいる線維性の歯周組織です。歯を歯槽骨にしっかりと繋いで立たせ、歯にかかる圧力を吸収してやわらげる機能があります。歯触りなどを感知するのも、歯根膜の機能です。ほかの歯周組織への栄養供給もしています。
虫歯や歯周病の悪化や過度の圧力によって、歯根膜炎を引き起こすことがあります。噛んだときに痛んだり、歯が浮くような感覚があったり、歯肉の腫れや発熱がある場合には、早期に受診しましょう。

シザーズバイトは、上の奥歯が下の奥歯の外側に出る不正咬合です。奥歯がハサミのようにすれ違い、頬を噛んでしまう場合があります。

歯軸とは、歯の中心軸のことです。歯列矯正の診断や治療などにおいて、歯軸の角度で歯の傾斜度を把握します。

歯周炎とは、歯肉炎よりも症状が進んだ歯周病のことです。歯槽骨が溶け始めて、歯肉が退縮し、歯周ポケットが深くなります。口臭が発生したり、歯磨きなどで出血したりします。さらに悪化すると、歯が脱落する危険があります。

歯周病でダメージを受けた歯周組織を再生させる治療が、歯周組織再生療法です。重度の歯周病になると、歯を支えている歯槽骨が溶けて失われてしまいます。炎症がおさまっても、骨が自然に元通りになることはありません。
歯周組織再生療法では、エムドゲインというタンパク質の一種を歯槽骨の欠損部に塗布して、再生を促します。リグロスという薬剤を使用する方法などもあります。この療法によって、歯を抜かずに治療できる可能性が広がります。

歯周病とは、歯を支える歯肉や歯槽骨などに、細菌が炎症を引き起こす感染症です。初期は痛みなどの自覚症状が出にくいので、気づかない間に悪化させやすく、重度歯周病になると歯が脱落する危険もあります。歯磨きを徹底し、歯垢を蓄積させないことが予防になります。
歯肉の赤み(健康時はピンク)、歯間の歯肉の丸み(健康時は引き締まって角がある)、歯磨きでの出血などが見られたら、歯科医院を受診しましょう。
関連:歯肉炎

歯と歯肉の間には歯肉溝(しにくこう)という溝があります。健康な場合は2mmほどですが、歯周病になると3mm以上に拡大し「歯周ポケット」という状態になります。歯科医院では、歯周ポケットの深さをポケットプローブという針状の器具で計測し、進行度を診断します。重度歯周炎の場合は、深さ6mm以上にもなります。
歯周ポケットに蓄積した歯垢は歯磨きだけでは除去できないので、歯科医院で徹底的にクリーニングして炎症を鎮めます。

歯石とは、歯垢が唾液中のカルシウムやリンと結びついて石灰化し、歯に付着したものです。多孔質でザラザラしており、細菌の格好のすみかになります。歯周病や口臭に発展しないよう、定期的に歯科医院でクリーニングしましょう。

歯石は、文字通り石のように歯にこびり付いており、ブラッシングだけでは落ちません。歯科医院では専用の器具で歯石除去するスケーリングを行ないます。歯周ポケット深部や歯根面には、ルートプレーニングという処置をします。

歯槽骨とは、歯肉の内部で歯を支えている骨のことです。歯周病による感染が広がると、歯槽骨が溶けて歯が抜け落ちる危険があります。

歯槽骨皮質骨切除術とは、歯を支えている歯槽骨を切り取って行なう矯正治療の一種です。歯槽骨表面の皮質骨という硬い部分を切除してから、矯正装置を設置します。ワイヤー矯正だけを行なうよりもスムーズに歯を移動させられて、抜歯の可能性も減らせます。
骨折と同様の原理で、一度切った骨は強くなるため、後戻りしにくい安定した歯列になります。血液循環が活性化するので、歯肉の血色が良くなるという効果もあります。
別名:コルチコトミー

歯槽膿漏とは、重度の歯周病を指します。細菌感染によって歯槽骨が深刻なダメージを受け、支えられなくなった歯が大きく揺れ動きます。血や膿が出て、口臭がひどくなります。歯を残して治療するのが、非常に難しくなります。

歯体移動とは、歯の傾きはそのままで水平方向に移動させる矯正方法です。傾きを変える場合は、傾斜移動といいます。

失活歯とは、歯髄(神経や血管)が機能しなくなった歯のことです。根管治療による抜髄、外傷や進行した虫歯による壊死などが原因で、失活歯になります。栄養が届かなくなるので、歯が黒く変色する場合があります。
関連:生活歯

歯内療法とは、歯の内部の治療を指します。歯根内部まで細菌に感染した歯に対しては、根管治療で汚染された歯髄を完全に取り除きます。感染箇所のみ除去して、歯髄をできるだけ温存する治療を行なう場合もあります。

歯肉とは、歯の根元や歯槽骨を包む粘膜です。歯周病は歯肉が細菌に侵される感染症で、初期は歯肉炎とよばれます。
別名:歯茎

歯肉炎は、歯周病の初期段階です。歯肉の赤みや腫れ、歯磨き時の出血が見られますが、痛みをともなわないため気づくのに遅れてしまうケースが多い病気です。進行すると歯周炎になって歯槽骨にダメージを与え、最悪の場合は歯が脱落してしまう場合もあります。
歯肉炎の段階では、口内を清浄に保つことが有効です。細菌の温床となる歯垢を蓄積させないよう、日常生活では丁寧な歯磨きを心がけ、歯科医院で定期検診とクリーニングを受けましょう。

歯肉の黒ずみは、さまざまな要因で生じます。健康な歯肉はピンク色です。
喫煙や日焼け、口呼吸による乾燥などで粘膜が刺激されると、メラニン色素が沈着します。被せ物などに含まれる金属成分が唾液に溶け出して、歯肉を黒ずませることもあります。こうしたケースではガムピーリングやレーザーで、歯肉の色を回復させる治療ができます。メタルフリーの補綴物への変更も検討します。
歯周炎が原因で歯肉が赤黒い場合は、歯周病治療をします。

自費診療とは、職域保健や地域保険(国民健康保険)、後期高齢者医療制度などの公的な医療保険を使用しない診療です。自由診療や保険外診療ともいいます。
厚生労働省が未承認の治療や薬を使った治療を行なう場合、高度な先進医療を実施する場合、傷病ではなく審美的な問題への処置の場合などは自費診療となり、治療費は原則として全額自己負担です。保険診療では3割が自己負担となります(年齢や利用する制度によっては軽減)。

しゃくれとは、下顎が上顎よりも前に出てしまう状態です。受け口や下顎前突、反対咬合のことを指します。
歯並びの問題であれば、歯列矯正で治療できます。顎変形症などの骨格に問題があるケースでは、外科処置が必要です。

上の顎のことです。上顎の上、頬の内側には副鼻腔の一部である上顎洞(じょうがくどう)という空洞があります。
関連:下顎

上顎前突とは、上顎の歯列が下顎よりも大きく前方に出ている状態を指します。
口が閉じづらいので、口内が乾燥して唾液の自浄作用が弱まり、虫歯や歯周病が生じやすくなります。口元への衝撃で前歯が破折しやすかったり、噛み合わせの悪さが全身のバランスに影響して、頭痛や肩こりなどにつながる可能性があります。見た目がコンプレックスになる場合もあります。上顎前突は不正咬合として、歯列矯正で治療します。
別名:出っ歯

笑気麻酔とは、吸入麻酔薬の一種です。使用する笑気ガスは、亜酸化窒素と酸素を混合した気体で、鎮静・睡眠作用があり不安や緊張をやわらげます。リラックスして表情がゆるむことから「笑気」とよばれています。

床矯正とは、小児矯正において混合歯列期ごろから行なう方法のひとつです。床矯正装置で顎骨の発達を誘導して広げ、永久歯が生え揃うスペースを確保します。非抜歯で歯列が整う可能性が高くなります。装置は取り外しが可能です。

上下顎同時移動術とは、上顎を前へ、下顎は奥へと同時に移動させる外科処置です。骨格的に問題のある顎変形症に対して適用されます。手術で切った顎は、ネジとプレートで固定します。術後は噛み合わせだけでなく、顔貌も整います。

上の前歯の中央部から上唇の内側まであるヒダ状の粘膜です。形態異常ですきっ歯などの原因になる場合は切除します。
関連:下唇小帯

小帯とは、口内のヒダ状の粘膜です。舌小帯、上唇小帯、下唇小帯、頬小帯などがあり、形態異常は外科処置する場合があります。

小児矯正とは、お子さま向けの矯正治療です。乳歯と永久歯の混在期や、永久歯が生え揃った直後から開始します。成人矯正と違い、子どもの顎はまだ軟らかく発達している最中です。歯が正しい位置に並ぶよう、スペースの確保を目的とした顎の大きさを整える治療ができます。小児矯正を行なうことで、抜歯の可能性を下げられます。
小児矯正は顎のバランスを整える「1期治療」と、成人と同様の矯正装置を使用する「2期治療」に分けられます。

初診相談では、患者さまへの問診と治療概要の説明を行ないます。実際に治療を開始するかどうかの判断材料になります。

医療機関にかかったときに、患者さまが支払う費用のことを「診療報酬」といいます。医療行為にはそれぞれに点数(公定価格)が定められています。歯科では薬の塗布や抜髄など、行なった処置の点数の合計が処置料となります。

ジルコニアは、セラミック素材の一種です。正式名は「二酸化ジルコニウム」で、見た目の美しさから人工ダイヤモンドとしてアクセサリーにも用いられています。金属と同程度の高い強度があり、奥歯の被せ物にも適しています。

ジルコニアセラミックとは、ジルコニアの土台にセラミックを焼きつけた補綴物のことです。ジルコニアの優れた耐久性と、セラミックの透明感ある高い審美性を兼ね備えており、天然歯と遜色ない美しい見た目に仕上がります。

歯列とは、口の中で歯が並んで生えている状態のことを指し示します。歯は生えてくる位置によって形状や役割があります。正しくない位置関係で生えてしまった歯は、その機能を果たせないため、食事や会話に影響を及ぼします。歯磨きがしづらくなって歯垢が溜まると口臭の元となり、虫歯・歯周病のリスクもあります。見た目がコンプレックスになる場合もあります。
歯列の乱れは、マルチブラケット装置やマウスピース型装置などで治療します。
同義語:歯並び

歯列弓とは、舌を取り囲むように生える歯の並び方の形を指します。歯列の幅が狭い状態を、狭窄歯列弓といいます。

歯列矯正とは、良くない歯並びを整える治療です。歯に接着したブラケットにワイヤーを通して引っ張る力を利用するワイヤー矯正や、マウスピース矯正などがあります。歯列の状態によって、治療には1〜3年程度かかります。

人工歯は、欠損した歯の代用として使用します。詰め物、被せ物、入れ歯、ブリッジ、インプラントの上部構造などが該当します。

人工歯根は、抜歯した歯根の代用として顎骨に埋入する人工物です。生体親和性の高いチタンで作られます。
別名:インプラント

審美ブラケットとは、白色や透明の矯正装置のことです。歯列になじんで目立ちにくいので、見た目に配慮して治療できます。


「す」からはじまる歯科用語

すきっ歯とは、一般的に上顎の前歯の間が開いてしまっている状態を指します。歯科用語ではこれを正中離開(せいちゅうりかい)といいます。また前歯に限らず、歯間に隙間が見られるものを空隙歯列(くうげきしれつ)とよびます。
先天性欠損や矮小歯の存在、舌で前歯を押す癖が原因となる場合があります。
すきっ歯の治療は、歯列矯正で歯の位置を移動させたり、ダイレクトボンディングやラミネートベニアで隙間をふさいだりします。

スケーラーは、歯石を除去する鉤爪状の器具です。ハンドスケーラーと超音波スケーラーがあり、これらで行なう処置をスケーリングといいます。

スケーリングとは、スケーラーという専用器具を使用して行なう歯のクリーニングです。歯の表面や歯周ポケット内部にこびり付いている、歯石と歯垢を取り除きます。虫歯・歯周病の予防と、口臭の改善にもつながります。

ステインとは、歯の着色汚れのことです。コーヒーやワイン、カレー、醤油などの色の濃い食品や、タバコなどが原因となります。

ストリッピングとは、矯正治療で歯と歯の間隔をあけたいときに行なう、歯の側面を削る処置です。
別名:ディスキング、IPR

スプリント療法とは、顎関節症の治療のひとつです。治療用のマウスピースを装着し、顎を適切な位置に誘導して、無意識に行なっている歯ぎしりや食いしばり、口呼吸といった癖を改善します。保険適用で治療できます。

スマイルラインとは、口を開いて微笑んだときに見える、上の歯列の先端をつないだラインです。スマイルラインが下唇の描く緩やかな曲線と平行になっていると、美しく見えるといわれています。歯列矯正やセラミック治療で整えられます。

すれ違い咬合とは、部分的に下の歯列が上の歯列に被さって、反対咬合になっている歯並びのことです。
別名:交叉咬合

スレッドとは、矯正治療で使用する糸状のゴムのことです。ブラケットに引っ掛けて、歯の移動を微調整します。

スローエキスパンジョンとは、おもに小児矯正で使う歯列を拡大させる装置です。弱い力で1年程度の時間をかけて広げます。叢生などに適用します。短期間で顎骨から広げる場合は、ラピッドエキスパンジョンを使用します。
別名:緩徐拡大装置


「せ」からはじまる歯科用語

正中とは、物の中心線や真ん中を指す言葉です。上下の歯列の正中が揃い、歯列と顔の正中が合う状態が美しいとされます。

正中線とは、人体が左右対称になるように結んだラインのことです。バランスの良い歯列や顎、顔は、正中線が一致します。

正中離開とは、前歯中央部の2本の歯(中切歯)の間に隙間が空いている歯並びのことです。
別名:すきっ歯

精密検査とは、治療を始めるにあたって、患部の状態や症状の程度をより精確に把握するため実施する、各種検査のことです。歯科領域ではレントゲンやCT撮影、歯型採取などを行ないます。精密検査の結果をもとに治療計画を立案します。

生理的動揺とは、健康な状態において歯がわずかに揺れ動くことを指します。歯根と歯槽骨の間の歯根膜という軟組織が、クッションのように作用することで起こります。0.2mm以下の歯の揺れは、生理的動揺の範囲で問題ありません。

セカンドオピニオン(Second opinion)とは、診断や治療について患者自身がより良い判断をするために、主治医以外の医師に意見を求める行為です。訴訟を前提とした相談や、主治医以外の医師の診察を求める行為などは該当しません。
希望する場合は主治医と相談のうえ、受け入れ先の病院を選び、紹介状(診療情報提供書)と検査結果などの書類を準備して受診します。相談結果は主治医にフィードバックし、今後の治療を決定します。

舌小帯とは、舌の裏側にある筋のような粘膜のヒダです。舌の動きを調節する役割があり、短すぎる場合は外科処置をする場合があります。

舌小帯強直症とは、舌の運動をコントロールしている舌小帯が、深く癒着していたり短かったりする場合に、動きに支障が生じるものです。発音や嚥下、呼吸機能を阻害されるときには、切除手術や機能訓練で治療を行ないます。

舌側とは、歯の位置を表わす言葉のひとつです。歯の舌側(裏側)を意味します。歯列の表側は上下とも、前歯部分が唇側(しんそく)、奥歯部分が頬側(きょうそく)となります。

舌側矯正とは、歯の表面に接着したブラケットにワイヤーを通して移動させるワイヤー矯正を、舌側から行なう矯正治療です。裏側矯正やリンガル矯正ともいいます。
前歯を引っ込ませやすいので、上顎前突(出っ歯)の治療に適しています。口を開いたときに装置が見えづらいので、接客業などで見た目に配慮して治療したい方におすすめの治療方法です。
上顎を舌側から、下顎を表側から矯正するハーフリンガル矯正という方法もあります。

舌苔とは、舌表面にできる白い苔状のものです。舌表面には舌乳頭という微細な突起があり、そこに食べカスや剥がれた古い粘膜と、細菌が溜まって舌苔になります。口臭の原因になるので、専用のブラシなどで除去しケアします。

切端咬合とは、上下の前歯が衝突して噛み合えない状態です。歯の破損・摩耗の恐れがあり、顎にも負担がかかります。

舌癖は、舌で行なっている無意識の癖のことです。リラックス時の舌の正しい位置は、上顎の前歯の付け根辺りで、舌全体は口蓋に付くような状態です。下顎の前歯に触れていたり、歯を押していたりする場合は、舌癖とされます。
舌癖を放置すると歯並びが悪くなったり、顎や顔のバランスが崩れることがあります。舌の筋肉が弱って滑舌が悪くなったり、いびきをかくようになることもあります。虫歯や歯周病にもつながるので、改善が必要です。
関連:口腔習癖

セパレーションとは、矯正治療を始める際に奥歯の間隔をあける目的で、歯間に小さなゴムの輪を挟み込む処置のことです。1〜2週間程度でスペースが確保されたら、第一大臼歯にバンドという金属の輪状の装置を装着します。

セファログラムとは、歯列矯正のために撮影する「頭部X線規格写真」のことです。顎骨の形態や歯の傾きなどを把握できます。

セメント質は、歯根表面を薄く覆っています。歯根膜(歯根と歯槽骨の間の組織)としっかり結びつく役割を果たしています。歯周病や加齢で歯肉が下がり、セメント質が露出すると、虫歯になりやすいので注意が必要です。

セラミックとは、詰め物や被せ物、ブリッジ、インプラントなど、虫歯治療や外傷などで失った歯の機能を補うために用いる陶材です。
保険診療で使用する金属と違って、セラミックは白く光を通す性質を持っています。色味も調整できるので、患者さまの天然歯と同様の見た目に仕上げられます。耐久性に優れ、長期間使用してもほとんど変形・変色することがありません。歯垢が付着しにくく適合性も高いので、二次う蝕しにくいのもメリットです。

セラミッククラウンとは、陶材の一種であるセラミックで作製された被せ物のことです。自費診療で使用されます。

セラミックブラケットとは、セラミックで作られた矯正装置です。天然歯に近い質感で、見た目に配慮した治療を行なえます。

セルフライゲーションブラケットとは、ブラケットにワイヤーを固定する際に、通常使用する結紮線が必要ない装置です。ブラケット自体のクリップでワイヤーを留めるので、過度の摩擦が抑えられて、痛みや違和感が軽減され、歯も移動しやすくなります。

先天性欠如歯とは、生まれつき生えてこない無い歯のことです。本来は乳歯で20本、永久歯で28本(そのほか親知らずが0〜4本)生えてきます。先天性欠如歯が多く認められるのは、第二小臼歯と側切歯です。先天性欠損歯ともいいます。

前方歯槽部骨切り術とは、出っ歯や受け口、顎変形症などに対して行なわれる外科処置です。第一小臼歯を抜歯してスペースを作り、前歯部分の歯槽骨を切り離して、歯列を土台の骨ごと後退させたり、角度を調整したりします。


「そ」からはじまる歯科用語

象牙質とは、エナメル質やセメント質の内側にある歯の組織です。エナメル質より軟らかく、内部に歯髄があります。

叢生とは、歯が重なり合って生えている箇所がある歯並びのことです。いわゆる八重歯も、叢生に含まれます。顎の発達不良や悪習癖などが原因になる場合があります。歯磨きが行き届かず、虫歯や歯周病になりやすいので注意が必要です。
別名:乱杭歯

咀嚼とは、口に入れた食べ物を、歯でよく噛み砕くことです。消化液である唾液の分泌が、咀嚼によって促進されます。

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