マウスピース矯正とワイヤー矯正どちらを選ぶべき?

院長よりひとこと

マウスピース矯正(インビザライン矯正)とワイヤー矯正、それぞれに特性があり、メリット・デメリットがあります。ただ近年、爆発的に普及してきているマウスピース矯正インビザラインでは、「目立たない」「自分で着脱できる」といったメリット以外に、意外と知られていない強みがあります。そのことから歯を抜かない治療や開咬の治療など、マウスピースゆえの特性から実現しやすいことも多々あり、患者様のメリットにつながります。


一般的に比較されている内容

マウスピース矯正(インビザライン矯正)とワイヤー矯正、どちらを選ぶべきかお悩みの方も少なくありません。結論から言いますと、一番大切なのはどちらにするかということよりも、患者様の症状に最も適していて、しっかり歯並びと噛み合わせを治療することができる方法を選択することです。しかしその前にどちらの方法にどのような強みやメリットがあるかということを知っておく必要もあります。

インビザライン矯正  ワイヤー矯正 
インビザライン矯正は、アライナーと呼ばれる3Dスキャンデータを元に、個々に合わせて作られるマウスピース型の矯正装置を用いた治療法です。歯並びを改善するため、通常は10日から2週間ごとに新しいマウスピースに交換していきます。この治療法は、軽度から中程度の歯並びの問題に対処するために採用されます。歯を徐々に移動させることで、違和感が少ないのが特長であり、また目立ちにくいことから、近年では非常に人気のある矯正治療法です。 ワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットと呼ばれる装置を取り付け、その間にワイヤーを通すことで歯並びを改善する方法です。この方法では、ワイヤーの復元力を利用して歯を移動させます。ブラケットには通常、金属製のメタルブラケットや、審美的な見た目を重視したセラミックやプラスチック製のブラケットが使用されます。ワイヤー矯正は世界中で広く普及しており、多くの症例に対応できる汎用性が特徴です。
・矯正器具が目立ちにくい  ・古くからある治療法
・自分自身で取り外しできる ・症例数が多い 
・痛みが少ない ・適用可能な範囲が広い 


どちらの矯正方法もそれぞれメリットはありますが、特にインビザラインの優れている点を、一般的に言われているもの以外のこともあわせて下にまとめましたのでご覧ください。

①インビザライン矯正は「開咬」の治療に向いている(奥歯の圧下が得意)

マウスピース矯正であるインビザライン矯正は「開咬」の治療に向いているというメリットがあります。

インビザラインが開咬治療に適している理由の一つは、独特の矯正圧力「圧下(あっか)」が他の治療法よりも効果的であることです。この方法では、歯を生えている方向に対して歯茎の方向へ沈んでいくような圧力をかけ、上下のかみ合わせにスペースを作ります。開咬の治療では、この「圧下」という、歯を歯茎側に沈ませていく動きが必要となりますが、これまで、ワイヤー矯正ではこの「圧下」という動きは難しいとされてきました。しかし、インビザライン矯正では、マウスピース型の矯正装置(アライナー)が、かみ合わせの面を覆っていますので、マウスピースの厚みの分だけ、噛むたびに圧力をかけている状態になり、圧下がしやすいのです。

②インビザライン矯正は「出っ歯」の治療に向いている(前歯をひっこめるのが得意)

前歯を引っ込めることも、インビザラインは得意としています。ワイヤー矯正もできますが、全体的な歯の移動にはインビザラインが適しています。マウスピース型のこの方法は、一方向だけでなく、徐々に歯を矯正移動させるために3方向から圧力をかけます。特に上顎突出は難しい矯正の一つでしたが、インビザラインの導入で成功率が向上しました。前歯の治療は以前は目立つ矯正器具ばかりでしたが、透明なマウスピースは違和感が少なく美しい治療が可能です。

※ワイヤー矯正では、舌のイラストの様に、奥歯を固定源とするため、前歯を引っ込めようとすると少なからず奥歯が前方に動いてしまうような力がかかってしまいます。そのため、矯正用のインプラントを埋入して固定源の補強をするなどの方法も取られたりしていました。

③インビザライン矯正は「非抜歯」での治療に向いている(奥歯の遠心移動が得意)

インビザラインは、特に奥歯の遠心移動に優れています。遠心移動は歯を後ろに移動させ、前方にスペースを作るための手法です
歯はもともと前方に倒れている状態になっており、矯正治療において奥歯を後方移動させる事は「アップライト」といい、歯が起き上がる動きとなるため、歯列の咬合にとって良い方向にいきます。親知らずを抜歯して後方にスペースを作り、後方移動させることをインビザラインは得意としています。通常、ワイヤー矯正では奥歯の位置を変えるのが難しく、別途の装置が必要ですが、インビザラインはこれを必要としません。
遠心移動は歯のスペース作りに対して大きな影響を与え、ワイヤー矯正で抜歯が必要なケースでも、インビザラインではそれを回避できる可能性があります。 

④インビザライン矯正は「痛みの少ない」治療に向いている

インビザライン矯正では歯を0.1mm単位と、非常に細かく歯を動かしていきます。インビザライン矯正で使用するマウスピース(アライナー)は1枚交換するごとに少しづつ形が変わり、それをつけ変えながら歯を動かしていきます。アライナー1枚につき0.25mmしか動かないため歯の負担が少なく、痛みを感じづらいのです。 対してワイヤー矯正では1mm単位で歯を動かしていきます。痛みんも感じ方についていえばこの差は大きいといえるでしょう。

⑤インビザライン矯正は「他人に知られにくい」治療に向いている

インビザライン矯正は「他人に知られにくい」治療に向いています。なぜなら、インビザラインは透明なマウスピースを用いて歯の矯正を行うため、外見上ほとんど目立ちません。従来の矯正装置と比べて目立たないため、社会的な場面や写真撮影時でも自然な笑顔を保つことができます。このため、多くの人がインビザラインを選択し、他人に知られずに自信を持って治療を受けることができます。