9割が裏側矯正を選択 ~ 裏側矯正のデメリットを解消する方法は?期間を短くするには?
裏側矯正
見た目が目立ちにくいことから、近年注目を浴びている裏側矯正。メリットはあるものの、デメリットもあるため、治療を受けるのを懸念されている方もいらっしゃることでしょう。
そこで今回は、裏側矯正についてお話をいたします。
- 裏側矯正と表側矯正、それぞれのメリット・デメリット
- 裏側矯正のデメリット解消に効果的なセルフライゲーションブラケット装置「クリッピーL」
- 裏側矯正の治療中に注意すべきこと
裏側矯正と表側矯正それぞれのメリット・デメリット
裏側矯正 | 表側矯正 | |
矯正の種類 | ・STb ・2Dリンガル ・インコグニート※など ・WIN矯正 ・セルフライゲーションストレート矯正‐ALIAS- |
・ブラケット矯正 |
特徴 | ・矯正が目立ちにくい ・食後のストレスが少ない ・スポーツ時など万が一の衝突でも、矯正器具があたる可能性が低いため口内をケガするリスクが軽減できる |
・幅広い症例に対応できる ・費用を抑えることができる ・治療期間が短い |
治療期間の目安 | 1年~3年程度 | 1年~3年程度 |
メリット | ・矯正が目立ちにくい ・虫歯になりづらい ・裏側に矯正器具をつけるのでスポーツ時の衝突など唇のケガのリスクを軽減できる ・歯の表面のエナメル質を気づけず矯正ができる |
・比較的費用を抑えて治療ができる ・矯正器具が舌に触れないため、食事の際のストレスが少ない |
デメリット | ・費用が他に比べると高い ・装着後慣れるまで話しづらさを感じることがある |
・矯正が目立つ ・ワイヤー等に食べかすが詰まりやすい |
このように2つの矯正方法は、特徴や条件はもちろん、メリットやデメリットも大きく異なります。なかでも裏側矯正のメリットとして注目すべきは、歯の裏側に矯正装置をつけるため、他人から分かりにくいという点。表に矯正装置をつけていると、笑顔を人に見せづらいと感じる方も少なくありませんよね。人と接客する仕事の場合、矯正したくても矯正装置を見せたくない方もいるでしょう。その点で裏側矯正は、人目につきにくいことから、精神的な負担を軽減できるという点が大きな特徴といえます。
また、裏側に装置をつけることにより、ワイヤーやブラケットが唇に当たってケガをするリスクも軽減でき、さまざまなスポーツやアクティビティなどを普通に行えるといったメリットも。
ただし、裏側矯正を行う場合は、医師に専門知識と歯の動きを予想する想像力が求められます。そのため、信頼できる医師のもとで治療を受けるようにしましょう。
適正年齢は? ~ 矯正は何歳までにすべきか
歯の状態によっても異なりますが、一般的に裏側矯正は中学生ぐらいから可能となり、年齢に制限はありません。
裏側矯正のデメリットは?
舌にぶつかる、話しづらいなどの違和感は?
違和感については、口の中にものを入れるわけですから、表側矯正も裏側矯正も同じです。
最初は違和感を覚えても、数日から数週間と使っていくうちに慣れて、食事も会話も問題なく楽しめる方がほとんどですので、それほど気になさらなくてよいかと思います。
違和感以外に発音のしにくさの問題が挙げられますが、それについては、歯科医院が導入している矯正装置によって大きく差があるのが実情です。
当院では、舌の感触を考慮して丸みを帯びた加工がしてある非常に小さくて薄いブラケットを導入しているため、従来の裏側矯正の装置に比べ、発音のしにくさや違和感が大幅に改善されています。
オーダーメイド治療のため高額になりやすい
歯の裏側は平らではないので、表側矯正で使用する装置は使えません。
そのため、一人ひとりに合わせたオーダーメイド治療となることから、他の矯正装置よりも費用が高額になる傾向にあります。
ただし自分の歯に合った装置がつけられるので、医師の指示に従い治療を継続すれば矯正をスムーズに行えるというメリットにもつながることでしょう。
表側矯正と裏側矯正、途中で矯正方法の変更はできるのでしょうか?
矯正方法の変更というのは、一般的にはあまり行ないません。しかし、大いにあり得る話だと思います。例えば、裏側矯正でどうしても装置に慣れない場合、下の歯のみ表側矯正に変更する、というケースもあります。当院の場合、表側矯正から裏側矯正の切り替えは、無料では承っていません。
裏側矯正のデメリットを解消する治療
裏側矯正のデメリットはセルフライゲーションブラケット装置「クリッピ―L」で解消することが可能です。
この治療方法について解説します。
セルフライゲーションブラケット装置「クリッピ―L」の4つ特徴
「クリッピ―L」は、歯の裏側に固定式のブラケットを装着して治療を行います。歯茎の状態に問題がなければ、患者の歯の問題に合わせた治療が行えるのです。セルフライゲーションブラケット装置「クリッピーL」は、従来のリンガルブラケット装置と比べ、「小さく」「薄く」設計されており、お口の中での違和感をより抑えた矯正装置となっています。また、ブラケットの厚みが従来品と比べ、非常に薄くなっています。また、人間工学に基づく、舌側形態に合わせた形状のボンディングベースを採用しているため、リンガルフォッサ(くぼみ)の深いところに接着可能となっているため、従来のリンガルブラケット装置と比べ、欠点が大幅に抑えられています。また、結さつ線を使用しない「セルフライゲーティング」により、ブラケットとワイヤー間の摩擦の問題を解決し、治療期間をより短く、痛みをより抑えることを実現しています。
特徴①矯正していることが目立ちにくい
ブラケットで歯の動きをコントロールしながら、歯の裏側にセルフライゲーションブラケット装置「クリッピーL」をつけるため、装置が外から見えなくなり、矯正中であることを気づかれることはほとんどありません。
特徴②歯の痛みの軽減
セルフライゲーションブラケット装置「クリッピーL」は、信頼のおける国内製です。独自のクリップ構造を持っており、弱い力で効果的に歯が動くように設計されています。そのため、矯正治療による歯の痛みが少なくなるメリットがあります。
特徴③矯正の装着による違和感が少ない
セルフライゲーションブラケット装置「クリッピーL」は、最新の超小型舌側矯正装置です。
そのため、裏側矯正で気になる点である装置に舌があたる違和感を軽減できます。
違和感が少なくなるように設計されているため、サ行、タ行、ラ行などの発音にもほとんど支障がありません。
特徴④歯のダメージを抑えながら矯正ができる
子どもの歯の表面は発達途中のため、治療法次第では歯に損傷を起こすことがあります。子どもの頃に歯の損傷があると、大人になってからも影響が残ることも想定されるので、細心の注意が必要です。
その点でセルフライゲーションブラケット装置「クリッピーL」は、は、弱い力で効果的に歯が動くように設計されていることから、歯へのダメージを押さえながら矯正を行えるため、子どもはもちろん大人までの全年齢に適した裏側矯正治療といえるでしょう。
このようにセルフライゲーションブラケット装置「クリッピーL」を使用すれば、さまざまな特徴を活かして矯正効果が期待できるのです。
治療期間の長さは解消される?
裏側矯正の治療期間は歯の状態などによっても異なりますが、一般的には1~3年程度です。しかし、裏側矯正は加速装置を併用することにより期間の短縮を目指すことが可能とされています。また加速装置の中でも注目を集めているのが、「オルソパルス」※です。オルソパルスは口にはめるタイプの加速装置で、近赤外線(きんせきがいせん)で口内の細胞を活性化させ、歯の移動を安全に加速できるとされています。オルソパルスが注目される大きな理由は、治療期間の短縮が可能なことです。オルソパルスは基本的にどのような治療法でも加速装置として用いることができ、治療期間の短縮効果が期待できます。また、必要な治療時間の目安は1日10分程度のため、自宅でも継続しやすいという点も選ばれる特徴の一つです。
オルソパルスはマウスピース型装置(インビザライン※)と相性が良く、一般的には2週間で1つのアライナー(マウスピース)を交換するところ、3日に1枚交換できるようになる為、患者さんにメリットがあります。3日で1つ交換ができる場合、実質1カ月で10枚交換可能なことからも、オルソパルスの効果が高いことが分かります。また、血行が良くなるため、矯正の痛みを和らげる効果もあるなど矯正治療を行う場合は併用したい装置です。裏側矯正の場合、どの程度期間が短縮できるのかは明言できませんが、治療期間の短縮につながります。
裏側矯正治療中の注意点
食事で気をつけるべきこと
注意①硬い食べ物
氷やフランスパンなどの硬いものは、思い切り噛む必要があるため、その衝撃で装置が外れ、破損することがあるのです。
また、骨付き肉などにかぶりついて噛み切る場合でも歯に衝撃があるため、装置が破損するリスクが考えられます。
注意②糖分の高い粘着性のある食べ物
粘着質なガムやキャラメルは装置にくっついてしまうため、装置が外れる原因になり得ます。
また裏側矯正は比較的虫歯になりにくいとされているものの、糖分の多いものを過剰に摂取すれば、当然虫歯になる可能性は高まることでしょう。
注意③着色性のある食べ物
キムチやカレーなどの着色性の高い食事、赤ワインのような着色性の高い飲み物は、装置を着色する原因となるので避けましょう。
注意④繊維質が多い食べ物
そばやパスタなどの麺類、もやしや白菜などの繊維質の多い食材は、装置に挟まりやすいため、食べ残しがないよう歯磨きや歯間ブラシなどを丁寧にする必要があります。
裏側矯正をしながら快適な食生活を過ごすために
それでは次に、食べ物による装置の破損や外れ、食事中の不快感を軽減するコツをいくつか解説します。歯に衝撃を与えにくくするためには、食品を小さく切って食べることが重要なポイントに。これによって、装置が破損するリスクを軽減することができます。また矯正したばかりの頃は装置に慣れていないので、食事に不快感を覚えることもあるでしょう。そのような場合も、少しずつ食べることで、不快感を軽くできます。さらに食べかすについては、こまめに飲み物で流すことで、それほど気になりません。このように矯正中は食事に気を配りながら、過ごすことを心がけましょう。
適切な口内ケアでより良い矯正へ
日常生活では歯みがきでケアを行い、歯科医院ではクリーニングを行うなど歯を清潔な状態に保つ必要があります。通常の歯ブラシでは、歯の裏側にある汚れを落とすことは難しいため、タフトブラシを使用して汚れを落としましょう。また、歯ブラシだけでは歯間の汚れを落としにくいため、歯間ブラシを使用することもおすすめします。
歯と装置のケア
ここからは、具体的な歯と装置のケアについて解説していきます。裏側矯正で使用する装置や歯に対して、適切なケアを行うことで順調に矯正を行うことができるでしょう。特に歯科医院のクリーニングでは、医師が丁寧に歯の洗浄を行ってくれるので、歯の汚れを的確に落とすことができると期待されます。しかし現実問題、歯のクリーニングには費用と時間がかかるため、頻繁にクリーニングに通うのは難しいという方もいらっしゃることでしょう。そのため、大切になってくるのは「日頃の歯みがきによるケア」前提として、矯正中の歯みがきには、歯間ブラシを活用しましょう。歯とワイヤー間の食べ物を取り除いてから歯ブラシで磨くのがおすすめのケア方法です。
- 外側を磨くときは毛先を歯と歯茎の間にあてながら、歯を1本ずつ磨く。磨き残しを防ぐためにも、一気に磨くことは避けましょう
- 噛み合わせに関しては、咬む所に毛先をあてながら歯ブラシを小刻みに動かして汚れを落とす
- 矯正装置の周りは、歯ブラシの向きを縦や横にしながら磨く
- 食べかすや汚れを見落とさないよう、鏡をしっかり見ながら歯みがきをする