「あ」からはじまる歯科用語

アーラインとは、硬口蓋と軟口蓋との境目となる帯状のラインを指します。口蓋の奥の方にある軟口蓋が、「アー」と発音すると持ち上がることが由来です。上顎の総入れ歯作製時に、後縁を決めるひとつの目安となります。

圧下は、歯を根元の方へ押し込むように移動させることです。インクルージョンともいいます。難しい方向への矯正で、強い力をかけるためアンカースクリューを固定源にします。開咬や過蓋咬合などに適用します。

後戻りとは、歯列矯正後に歯が元の位置に戻ろうとする現象です。後戻りを防ぐために、保定装置を装着します。
別名:リラップス

アマルガムとは、虫歯治療で修復に使用されていた合金です。成分は水銀が約50%で、残りは銀、スズ、銅、亜鉛などでできています。1800年代のフランスで使われ始め、日本では1970年ごろに広く使用されました。強度が高く、2次う蝕しにくいという特徴がありますが、水銀の毒性による人体への悪い影響が指摘されています。現在では多くの国で使用禁止となり、日本でも保険適用から除外されています。過去に処置したアマルガムの除去を行う歯科医院もあります。

アンカーとは、船のいかりや固定するという意味の言葉です。歯科領域では矯正治療で使用するアンカースクリューというネジ状のものを指します。歯肉に埋め込んで、固定源にします。歯が適切に移動したら取り除きます。

アンカースクリューとは、歯列矯正で用いるインプラントのことです。チタン製で小さなネジのような形をしています。歯槽骨に埋入して、歯を動かすための固定源にします。ガミースマイルや開咬などの治療を、外科手術や抜歯をせずに行えます。

アンカレッジロスとは、矯正治療で歯を動かすために固定源にしていた別の歯が、逆に動いてしまうことです。

アングルワイダーとは、口角に装着して広げ、口内を視認しやすくする器具です。口角鈎(こうかくこう)ともいいます。

アンレーとは、虫歯で削った歯を補う詰め物のことです。咬合面全体の虫歯治療に適用します。同じ詰め物のインレーよりも大きく、歯冠部に被せるように設置しますが、歯肉のきわまで歯全体を覆うクラウンよりは小さいサイズになります。


「い」からはじまる歯科用語

持ち手付きのデンタルフロスのことです。同様の製品全般が「糸ようじ」とよばれたりしますが、小林製薬の登録商標です。

医療費控除とは、多額の医療費を払った年に所得税から控除できる制度です。
1月1日から12月31日までの1年間、生計が同一である家族の医療費の合計が10万円を超えた場合に、確定申告で申請できます。
1年間の医療費の合計から、保険金などの補填金額と10万円(総所得金額が200万円未満の場合は所得の5%)を引いた額が、医療費控除額です。控除額の上限は200万円です。
住民税も控除後の金額に適用されます。

入れ歯とは、失った歯の代わりに使用する人工歯です。すべての歯が無い顎には総入れ歯を、一部の歯を補う場合には部分入れ歯を適用します。保険診療ではプラスチック製ですが、シリコンや金属を用いた自費の入れ歯もあります。
別名:義歯

印象とは、歯科領域において歯型を意味します。被せ物やインプラントなどの補綴物は印象採取(歯型とり)をして作製します。

インフォームドコンセント(informed consent)は「説明と同意」を意味します。患者さまが医療従事者から、疾患の状態や治療の目的・必要性、治療方法とそれにより得られる効果・リスク、必要な期間と費用などの説明を受けてから、治療方針に同意することを指します。
十分な情報を得て理解したうえで、患者さまご自身で選択し治療をスタートするという「知る権利」と「自己決定権の尊重」が基本理念となっています。

インプラントとは、人体に入れる人工物を意味します。歯科領域においては、欠損歯の代わりに顎骨に埋め込む人工歯根のことをインプラントとよびます。歯科用インプラントの素材には、顎骨と結合しやすいチタンを使います。

インプラント義歯は、インプラントを土台にして義歯(入れ歯)を口内に設置する方法です。インプラントを2〜6本ほど顎骨に埋め込み、磁石などで義歯を固定します。ずれにくく安定した噛みごたえが得られる方法です。

インレーとは詰め物のことです。虫歯を治療するときに、削って空いた穴を埋める人工物です。
保険適用の治療では、金属やレジンをインレーにします。金属にはある程度の耐久性があり、レジンには目立ちにくく金属アレルギーでも適用可能という特徴があります。
自費診療では、強度と見た目に優れたセラミックや、適合性の高い金をインレー素材にできます。 歯の噛み合わせの面をより広くカバーする詰め物は、アンレーとよばれます。


「う」からはじまる歯科用語

受け口とは、上顎よりも下顎の方が前に出ている不正咬合です。子どもの場合は、上顎の発達を促す装置を使って、上下の顎のバランスを整えます。大人の場合は、ワイヤー矯正で下の歯列を引っ込めたりします。
別名:下顎前突、反対咬合

齲歯とは虫歯になった歯のことです。虫歯菌に侵されて歯が病気になることを、齲蝕(うしょく)といいます。

う蝕は、虫歯の別名です。虫歯菌が生み出した酸で、歯が溶かされる病気です。再石灰化で修復できないほど進行した虫歯は、自然に回復することはありません。細菌に感染した箇所を除去し、補綴物でカバーして治療します。

裏側矯正とは、矯正装置を歯の裏側(舌側)に取りつける方法です。歯の表側から行なうと装置が見えて、口元が目立ってしまいますが、裏側矯正だと会話や食事で口を開けても、ほとんどほかの人からは見えません。審美的に優れた矯正治療です。食事中に食べ物が装置に引っかかってしまっても、ほかの人に気づかれません。また、舌側はつねに唾液で満たされているので、虫歯になりにくいというメリットもあります。
別名:舌側矯正、リンガル矯正


「え」からはじまる歯科用語

永久歯とは、乳歯が抜けたあとに生えてくる大人の歯です。個人差はありますが、最初は6歳臼歯とよばれる奥歯が、最後は10代の後半ごろに第三大臼歯(親知らず)が生えてきます。
永久歯は全部で32本です(そのうち親知らずの4本は生えないことがあります)。近年、いくつかの永久歯が生まれつき生えてこない「先天性欠如歯」が増加傾向にあるとされます。歯並びや噛み合わせに影響するので、気になる場合は早期に歯科医院で検査しましょう。

エクストルージョンとは、歯のほとんどを失ったときに、クラウン設置のため歯根を歯肉から引き出す部分矯正です。
別名:歯根挺出

壊死とは、生物の組織の一部が死ぬことを指します。歯科領域では、壊死した歯髄を根管治療で取り除きます。

エッジワイズ法は、ワイヤー矯正のひとつです。歯科医師が歯列弓の形状に合わせてワイヤーを曲げ、ブラケットに通します。歯の傾きや位置の状態を、細かにコントロールできる方法です。あらゆる症例に対応できます。

エッチングとは、歯科領域では詰め物をする前に、エナメル質や象牙質をリン酸で処理して、接着性を高めるものです。

エナメル質は、歯冠部の表面を覆っています。人間の体において最も硬い組織で、圧力や刺激から歯髄を保護しています。

遠心移動とは、歯列矯正における調整の仕方のひとつです。歯列弓の中心から遠ざかる方向(歯列奥)に動かします。

エンドとは、歯列矯正で用いるワイヤーの両端を指します。歯の移動によって、ブラケットからエンドがはみ出てきたりします。


「お」からはじまる歯科用語

オートクレーブとは、高圧蒸気滅菌器のことです。感染対策として、治療で使用する使い捨てない医療器具を滅菌します。

オーバージェットとは、上下の歯列の前後関係を示します。オーバージェットが大きいと出っ歯(上顎前突)、小さいと受け口(下顎前突)です。歯列を横から見たときに、2〜3mm程度の前後差が通常のオーバージェットになります。

オーバーバイトとは、上下の顎の噛み合わせの深さを示します。オーバーバイトが大きいとディープバイト、小さいとオープンバイト(開咬)です。上の前歯が下の前歯に、約2〜3mm被さっているのが適正なオーバーバイトです。

オープンコイルスプリングとは、歯列矯正で歯間を広げるときに使うバネです。バネを圧縮して設置し、膨張する力を歯にかけます。

オープンバイトとは、奥歯を噛み締めても前歯が合わず、開いてしまう歯並びを指します。前歯で物を噛み切れず、食べづらさを感じます。
悪習癖の改善と矯正治療を行ないます。骨格に問題がある場合は、外科処置も検討します。
別名:開咬

セラミックとは陶材のことです。歯科用セラミックは、インプラントの上部構造や虫歯治療後に装着する被せ物などに使用されます。強度が高く、生体親和性に優れているのが特徴です。光を透過させるので、天然歯のような質感を再現できます。色味も患者さまの歯列に合わせて、調整可能です。
オールセラミックの場合、セラミック以外の素材は一切用いません。金属アレルギーの方でも安心して治療でき、金属イオンによる歯肉の変色も防げます。

オッセオインテグレーション(Osseointegration)とは、ラテン語で「骨の(osseo)」「結合(integration)」という意味で、チタン製のインプラントと顎骨が硬く一体化することを指します。

鬼歯とは、外側に向かって突き出た、鬼の牙のように見える犬歯のことです。過剰歯や新生児の先天歯を鬼歯ということもあります。

歯科医院で歯科医師や歯科技工士が行なうホワイトニングのことを「オフィスホワイトニング」といいます。高濃度の薬剤を歯の表面に塗布し、高輝度のライトを照射して漂白します。
白くなりやすく数回の施術で目標の色味に近づけられるので、短期間で効果を実感したい方に向いています。色が戻りやすいため、白さをキープしたい場合には定期的にメンテナンスが必要です。 患者さま自身で行なう「ホームホワイトニング」という方法もあります。

親知らずとは第三大臼歯のことで、10代の後半ごろから歯列のもっとも奥に生えてくる歯です。乳歯がなく、親が知らない間に生えてくることから、この名が付いたという説があります。智歯(ちし)ともよばれます。必ずしも上下4本がすべて生え揃うわけではなく、1〜3本しか生えない場合もあります。歯ブラシが届きにくいことから、虫歯になりやすい傾向があります。横や斜めを向いて生えると噛み合わせにも影響するので、抜歯する場合があります。